人と人をつなぐ「たすき」となり
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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和6年4月号(No.53)
【①父の姿から学んだこと】
令和6年3月6日、父が87年の人生に幕を閉じました。年齢からすれば男性の平均寿命を上回っており大往生だったかもしれませんが、やはり父との別れは年齢に関係なく寂しいものであると感じました。しかし父は昨年、余命宣告のあと家族に別れが近いことも言ってましたし、自身が最後にやっておきたいことやお願いしたいことを全て済ませて良かったと言っていたのがせめてもの救いでした。
私も父との別れが近づいていることを感じ、意識がはっきりしている時にたくさんのお礼を何度も伝えることが出来て良かったです。父はとにかく話すのが好きでしたから、父とのたくさんの会話が今も心の中に蘇ってきます。また言葉だけでなく父の行動に関しても色々思い出すことがありました。
私が生まれた頃、父は母とともに実家で食料品やケーキを製造販売する店を経営していました。しかし数年後に閉店、さらに飲食店も経営しましたが商売は長続きせず辞めることになりました。それから私が小学生くらいの頃、家の前で知らない人から「お父ちゃん元気にやってる?」「昔店やってた頃、あんたのお父ちゃんに世話になったんよ」と何度か言われました。またどこかで困っている人を助け、その後贈り物を頂くことが何度かありました。
そして今回、亡くなってすぐに病室に駆けつけてくれた私の親戚は「自分が少年野球をやっている頃、試合でおっちゃんがたくさん写真を撮影してくれて親よりも熱心に応援してくれるのが嬉しかった」と泣きながら話すのを聞き、改めて父の見返りを求めようとしない世話好きで自然体な姿が蘇りました。
私は自分からコミュニケーションを取るのが苦手なタイプです。しかし最近、父をイメージして私も積極的に話しかけることを心掛けるようになり、そこから会話が膨らむと何だか嬉しい気持ちになります。これからも人生の大先輩であった父の言葉や行動を思い出しながら、父のように自然体な生き方を目指したいと感じます。
【②生成AIが生み出す誤った回答】
先日のニュースで興味を感じたのが、とある中学校で出された理科の課題の答え(文章)のほぼ半数が同じ表現で回答されており、結果は不正解とのことでした。どうやら回答のもとが生成AIを搭載した検索エンジンで導かれた文章で、そもそもその内容が誤っていたのが原因とのことでした。そしてその誤った回答のもとになったのがメーカーのホームページに掲載された文言で「誤解を招く表現だった」と内容を修正したとのことでした。
生成AIという言葉は1年程前に私も聞くようになり、何となく活用することで便利になることがたくさんあるというのは分かる気がするけど「AIが人間に変わって仕事を担うようになる」というのがあまりピンと感じませんでした。しかし、生成AIのサイトである「ChatGPT」が話題になるようになってから私自身も興味がないままではいけないと手探りで活用し始めました。それでも何がそんなに革新的なものなのか根本的な取扱い方が分からないままでしたが、今年の正月、愛知県に住む兄の息子で大学生のおいとの話の中で「ChatGPT」の活用方法についてヒントを頂くことになりました。
おいは学校で外国人教師から学生に重要なことを伝えたい時に自身の考えを翻訳して欲しいと頼まれるくらい英語が堪能で、国際ファッションビジネスを学ぶ傍ら、まだ着ることが出来るにも関わらず捨てられてしまうような服を格安で販売するネットショッピングを立ち上げたり、複数の企業のホームページやブログを作成管理する事業も現在行っており、自身のビジネスの中で「ChatGPT」を活用している話を直接聞きました。私の中で点と点で理解していたことがおいの話で少し線になった気がしましたが、若者が語るビジネス展開や発想には追いつけないと実感させられました。
最近は私も「ChatGPT」を具体的に活用するようになりました。使いようによっては人間が数時間かけて考え出すような答えも的確かつ具体的な指示を出すことで回答が数秒で導き出されることに驚かされます。生成AIによって人間がこなしてきた仕事が近い将来奪われる現実味を私自身感じるようになりました。
しかし、最初の事例のように一見正解のように感じる文章も収集した情報が誤りであれば回答誤りになる場合があります。また社会保険労務士が専門とする人事労務管理のルールのように毎年少しずつ中身が変更されてしまうと、いかにも正しいようにAIが導く答えが実は数年前のものであるかもしれません。便利な世の中になりましたが「本当に正しいかどうか」を常に意識することが大事かもしれません。
~最後までお読み頂きありがとうございました~